山種美術館

 
山種美術館「【特別展】小林古径生誕130年記念 古径と土牛」

出品作品リスト
会 期 : 2013(平成25)年10月22日(火)~12月23日(月・祝)
※ 一部展示替 前期:10/22~11/24、後期:11/26~12/23
会場: 山種美術館
主催: 山種美術館日本経済新聞社
協賛: SMBCフレンド証券
開館時間: 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日: 月曜日
(11/4、12/23は開館、11/5は休館、12/24~1/2まで展示替えと年末年始のため休館)
出品作品: 小林古径:《闘草》、 《河風》、 《静物》、 《清姫》(全8面)、 《蓮》、 《三宝柑》、 《猫》、《紫苑紅蜀葵》(霊友会妙一記念館蔵)、 《観音》(霊友会妙一記念館蔵)、
奥村土牛:《雨趣》、 《聖牛》、 《城》、 《水蓮》、 《浄心》、 《泰山木》、 《鳴門》、 《蓮》、 《醍醐》
ほか約70点
※所蔵先表記のない作品は山種美術館蔵です。
※出品内容には変更が入る場合があります。
日本画における線を「内に籠もったものを現す、或は対象の実在を掴む」として重視し、端正かつ清澄な線を特徴とした日本画家・小林古径[こばやし こけい](1883-1957)。2013年はその古径の生誕130年にあたります。これを記念し、古径の作品とともに、古径の兄弟弟子・奥村土牛[おくむら とぎゅう](1889-1990)の作品を比較展示して二人の画業を振り返る展覧会を開催いたします。
古径が画家として出発した明治30年代から大正初期は、日本画家が東洋と西洋、写実と装飾、伝統と革新の間[はざま]で揺れ動いた時代でした。その時代にあって古径は、安田靫彦[やすだ ゆきひこ]、今村紫紅[いまむら しこう]、速水御舟[はやみ ぎょしゅう]らとともに研究を重ね、時に西洋美術の影響も受けながら、日本画の進むべき新たな道を模索しました。院展においては、靫彦、前田青邨[まえだ せいそん]とともに「三羽烏」と称されて日本画の水準を高め、横山大観らに続く世代の中心的存在として活躍します。さらに1922(大正11)年のヨーロッパ留学、大英博物館での顧愷之[こがいし]の《女史箴図[じょししんず]》の模写体験は、古径の画業に大きな影響を与えることになりました。帰国後は中国画を基本とする東アジアの線描の美に目覚め、古典を基礎としながらも近代的な感覚をとり入れた新様式を確立し、後進画家たちに多大な影響を与えていきました。
なかでも、梶田半古[かじた はんこ]塾で古径と同門であった奥村土牛は、塾頭をつとめていた古径を師と仰ぎ心から尊敬して多くを学びました。101歳で天寿を全うするまで絵を描き続けた土牛自身も、古径との出会いが「自分の一生を決定づけることになった」と語り、古径の作画に対する真摯な態度を引き継いでいきます。土牛の描いた《浄心》(古径を追悼し制作)、《醍醐》(古径の七回忌の帰路に見た桜の美しさに古径への想いを重ねて制作)、《泰山木》(古径好みの陶器と花の取り合わせ)などの作品には、古径への深い敬愛と思慕の念が込められています。
本展では、古径が西洋画を強く意識していた時代に描かれた、現存する唯一の油彩画である《静物》、古典回帰時期の傑作と名高い連作《清姫》(3年ぶりに全8面を一挙公開)、西洋の静物画の様式を日本画の中で昇華させた《果子》や《三宝柑》など当館所蔵作品に加え、古径の古典や琳派研究の成果ともいえる《大毘古命図》、《紫苑紅蜀葵》、《狗》など公開されることの少ない他所蔵作品も展示いたします。
一見すると異なる画風の二人の作品を、それぞれの言葉やエピソードとともにあらためて見つめなおし比較することで、古径と土牛のもつ共通項にも注目する展覧会です。
小林古径《紫苑紅蜀葵》霊友会妙一記念館
奥村土牛《鳴門》山種美術館
奥村土牛浄心山種美術館

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