WBCと「運命の力」

いつもなら休暇きちきちまで実家に居る(猫・・・)のだが、取ってたオペラがあるので
半端に早く切り上げて戻る。
その、移動時間がちょうどWBCに重なってた。

空港:カードのラウンジにいたんだけど、おじさんがTVのチャンネルを変えた。ちょうど始まる時間だったらしい。喫煙室の別の客が、案内されてやってきて、これも野球目当てだったらしい(その後喫煙室のTVが調整できたらしく戻っていった)
機内:通常案内番組終了後、中継。空の上でも、見れるんだ・・・(電波乱れたりだったけど)
空港:少し早着。羽田にはスターフライヤー(やはりかっこいい)やピカチュウがいた。余談だが、順番に下りてたみたいで、空中に道路があるみたいに飛行機が並んで下りてて変な感じだった(ぐるんと回って並んでるのでよく見える)。到着エリアではTVの気配なし。
家についてTVをつけたら7回裏だっけ?微妙なシーンだったので、出なきゃならないのについ見てしまう。2ラン打たれたので、居たたまれず出かける。
劇場:入口すぐの普段は劇場内の様子を写す大型プラズマTV?で中継をみていたらしい、すごい人の群れで、何かと思った。ちょうど着いたときに決したらしく、突然その群れから歓声が。画面に、「世界一」とかでて、開演時間でもあったので、即行解散。でも良かった。
・・・ってなかんじで、WBCに振り回された昼間でした。

ここからはオペラ。

運命の力  G.Verdi : La Forza del Destino
全4幕【イタリア語上演/字幕付】オペラ劇場

スタッフ
作曲 : ジュゼッペ・ヴェルディ
原作 : リヴァス公爵ドン・アンヘル・デ・サーヴェドラ
台本 : フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ (改定版:アントーニオ・ギスランツォーニ)

指揮: 井上 道義
演出: エミリオ・サージ
美術・衣裳: ローレンス・コルベッラ
照明: 磯野 睦
舞台監督: 大仁田雅彦
合唱指揮: 三澤 洋史
合唱: 新国立劇場合唱団
管弦楽 : 東京交響楽団

キャスト
レオノーラ: アンナ・シャファジンスカヤ
ドン・アルヴァーロ: ロバート・ディーン・スミス
ドン・カルロ: クリストファー・ロバートソン
プレツィオジッラ: 坂本 朱
グァルディアーノ神父: ユルキ・コルホーネン
フラ・メリトーネ: 晴 雅彦 
カラトラーヴァ侯爵: 妻屋 秀和
クッラ: 鈴木 涼子
マストロ・トラブーコ: 加茂下 稔 
村長: タン・ジュンボ
軍医: 片山 将司

運命の力、ってあまりメジャー演目ではないのかも知れず、しかし私は、これまでに2回(ゲルギエフのとスカラ座)観たことがあります。珍しいのかなあ。
で、音楽は、序曲になじみがあるからかよいのだけど、ストーリーが他のオペラにも増して唐突に思われて、毎度あまりしっくりこない・・・と思いつつ観ている。なので、歌の印象だけがぼつぼつ残っていたりして。(最後のレオノーラのアリアが美しい、とくに導入のとこ、とか)
ドラマチックな曲が多いので、歌手もドラマチックな歌唱力に耐えうる人でないとだめ、という
上演が難しい要因があるらしい。今回は、その辺どのひとも実力のあるひとが揃えられた、恵まれた公演だったのではないでしょうか。レオノーラはもちろん、アルヴァーロ(私はレオノーラより良かったくらいだと思います、終演後拍手は負けていたけど)、修道院長や兄(偽名使ってたりなので本名なじめず)もすばらしかったと思います。3Fサイド席だったのですが、小さい声もくっきりと耳に届き、高い声も音量豊かで、けして絞り出すような苦しい声にはならず、まさにドラマチックに聴かせられました。
舞台は、箱(枠)と宗教画、仕切りの布、明かり、など効果的に使用されていて綺麗だと思いました。以前みたのは割と具象的(岩とか)だったので、余計にこういうのもいいかなと。
音楽、井上さんが派手に動いてるのが、各幕の冒頭の間は楽しめました、始まっちゃうとさすがにみないのですが。序曲の最初、運命の3音が高らかに響き、かなり速いスピードで曲が始まるので、切迫したどきどき感に襲われたのですが、そのあとひどくゆっくりになったりして。全体的に、テンポはわざとなのか一定にはしていなかったようですが、それもまた今日の流れには良かったと思います。
レオノーラ兄とアルヴァーロの戦場エピソードとか後の遣り取りとか、なんかあの二人のシーンに関しては少なくなってたのかな?兄ったらいつにもましてわけのわからない人みたいな扱いに思えちゃうのですが気のせいでしょうか、でも歌は良かったです。
今回の公演は、ストーリーはやっぱりわけわかんないよなー感を拭えはしないんだけど、あまりそちらに気を取られないくらいに歌や演奏は良かったし、舞台も綺麗だったから、帰省を切り上げて戻ってくるだけの価値はあったと思います。エレベータで乗り合わせたおばさまたちも、良かったので2回目だけどまた聴きに来たのよ、と話してました。

<本日の突っ込みたかったけど我慢したコーナー>
休憩時間のドリンクコーナー(入口外ロビー・100円安い・・・)で後ろに並んでたおばさん3人、
このオペラは、イ・タ・リ・ア語です。
ドイツ語上演、て書いてあった気がする、って、気のせいです。
舞台がスペインみたいだからってスペイン語上演だって決定しないで下さいー
だったらマダム・バタフライは日本語ですか!?そもそもスペイン語のオペラを私は聴いたことないんですが・・・(あのカルメンすらフランス語だし)
しかも作者はヴェルディですよ、ってわかってるのかなあ・・・
まあ、決め手のひとつが、「セニョールっていってたじゃない、だからスペイン語よ」と確信してたようだったのでもう何もいえませんが・・・イタリア語もsignoreありますよ・・・
更に、ついでながら、売店横のTVでやってた次回上演の「道化師」見て、
あらこれも楽しそうなお話ねえー、っていや、楽しい話じゃないです、も、って、「運命の力」も楽しい話と思ってる?侯爵が気がついたら死んでたみたいでおかしいわよねって、だからといって・・・
オペラの裾野は広がってるというが、さすがにちょっとな気分・・・・