平日マチネ「チェネレントラ」

2008年6月17日(水) 14:00 新国立劇場オペラ劇場
2008/2009シーズン オペラ
チェネレントラ  [New Production]
G.ロッシーニ/全2幕【イタリア語上演/字幕付】

予定上演時間:約2時間50分(休憩1回含む)

スタッフ
【作 曲】ジョアキーノ・ロッシーニ
【台 本】ジャコモ・フェレッティ

【指 揮】デイヴィッド・サイラス
【演出・美術・衣裳】ジャン=ピエール・ポネル
【再演演出】グリシャ・アサガロフ
【演技指導】グリシャ・アサガロフ/グレゴリー・A.フォートナー

【芸術監督】若杉 弘

キャスト
【ドン・ラミーロ】アントニーノ・シラグーザ
ダンディーニ】ロベルト・デ・カンディア
【ドン・マニフィコ】ブルーノ・デ・シモーネ
【アンジェリーナ】ヴェッセリーナ・カサロヴァ
【アリドーロ】ギュンター・グロイスベック
【クロリンダ】幸田 浩子
ティーズベ】清水 華澄

【合 唱】新国立劇場合唱団
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

歌手陣は、世界のロッシーニ歌いをキャスティングしました。
アンジェリーナ役でヴェッセリーナ・カサロヴァ新国立劇場にいよいよ初登場。
そして、大絶賛を博した2002年『セビリアの理髪師』に出演したアントニーノ・シラグーザが
ドン・ラミーロ役、ロベルト・デ・カンディアがダンディーニ役で待望の再登場です。
また、ドン・マニフィコ役にブルーノ・デ・シモーネが新国立劇場初登場。
指揮者は、英国ロイヤルオペラでミュージック・ヘッドを務めるデイヴィッド・サイラス。
ジャン=ピエール・ポネルによるバイエルン州立歌劇場の名プロダクションの上演になります。

ものがたり
【第1幕】男爵ドン・マニーフィコ(B)の屋敷。クロリンダ(S)とティスベ(Ms)の継姉2人を世話するアンジェリーナ(チェネレントラ)(Ms)は、物乞いの男に水と食べ物を与える。
彼は実は王子ラミーロ(T)の家庭教師アリドーロ(B)である。従者に扮した王子が屋敷に入り込み、
アンジェリーナと一目で恋に落ちる。一方、王子の従者ダンディーニ(Br)が王子に成りすまして現れ、
姉娘たちを城の舞踏会に招く。アンジェリーナも行きたがるが継父マニーフィコが拒む。
城の大広間では姉娘2人がダンディーニを取り合うが、突然現れた絶世の美女(実はアンジェリーナ)に
皆が驚く。
【第2幕】城の中。王子姿のダンディーニが出てきてアンジェリーナに求愛するが、彼女は
「従者の方を愛しています」と語る。その言葉を耳にしたラミーロは、早速出てきて求婚する。
すると、彼女は腕輪を差し出し、「これで探して下さい」と告げて姿を消す。屋敷では、
男爵と姉娘たちがアンジェリーナに八つ当たりする。外は嵐になり、馬車が転覆、
乗っていたダンディーニが屋敷を訪れる。王子も次いで現れ、アンジェリーナを見つけて城に連れ帰る。
王宮では、幸せを手にした彼女が父や姉たちを許し、フィナーレの大アリア〈悲しみと涙に生まれ育ち〉
を歌って幕となる。
(ここまで新国立劇場HPから転載)

タイトルにも書きましたが、マチネです。平日。
一般サラリーマンは来れない時間帯、私もそうなんですが、会社が休みだったので、
週末より取りやすそうだしこの日に。きっとすいてるんだろうな、今日は余裕だわ、
なんて思って行ったら大外れ。ほぼ満席の大盛況。ただし客層は、年配の方がほとんど。
すごいな日本・・・結構金持ちなのか、年配層に限ればだが。

話はシンデレラ、曲はロッシーニ、軽いの想像して入ったら、結構長い序曲の後出てきたシンデレラの歌う歌は何か暗い。2人の姉じゃなくても、やめてよそんな陰気な歌歌うのー、といいたくもなる。
ソプラノじゃなくてメゾだからか、どこかドスきいた声だし。
てなかんじで、童話やバレエとはけっこう違う感じのシンデレラものがたりなのでした。

ボネルの演出というセットも構成もけっこう簡素。主人公のうちも没落貴族だけあって幽霊屋敷みたい。でも、姉さん二人はアリアドネの歌手みたいで服もキャラも明るい(明るいバカというか愚かというか)。継母ならぬ継父もお笑いキャラ。設定上、あと王子の身代わりやる従者もお笑い、らしいけど、
王子もお笑い方面に入ってますね絶対。マジキャラは主人公と王子の教育係だけ。それだけに主人公が暗いしカタブツぽい。

このシンデレラは魔法ファンタジーぽさがさっぱりなくて、その分絵面は地味。
バレエと違って魔法の杖で素敵なドレスに大変身、とかキラキラした馬車もない。
舞踏会も(実質)なくて、ガラスの靴は対のブレスレット。もちろん門限なしなので落とすんじゃなく置いていく。
王子も王子で、お后候補チェックのために従者と入れ替わってるくらいで。
チェネレントラは家で汚くしてても綺麗なドレス謎の美女になっても、顔は同じらしく、父と姉、王子に同じ顔!といわれる。
となにもかも、むしろシンデレラじゃなくない?と言ったほうがいいくらい。

と、話にはいろいろのつっこみたいポイントがあふれてるんですが、
歌手の人たちがすごいいんです。
いろいろあっさりしてるせいで、歌の良さはすごく際立ってる。
一番いいのは王子、謎の美女の残したブレスレットを手に、よしぜったい探すぞー(てかか探すまでないじゃん)という
決意をつらつらうたうところ、ハイCポイントらしいんですが、
おっもいっきりやってくれて、美声に惚れぼれしました。王子様はこれじゃなきゃね。
ここ、アンコールしてくれて、その時はここぞなとこでさらに長ーくひっぱってくれて、
もう客席大喜び。
チェネレントラは見た目といい声といい、しっかりしすぎて、うぶで可憐で守ってやんなきゃ・・・なとこは全くないけど、まあこの話のキャラだからあってなくもないのか。
王子より愛してるのは従者、でも私の真の姿を見て、探しに来て、っていうひとだから。
最後の許しも、おかあさんみたいな太っ腹感でした。
もうちょい太くない声の感じが好みではありますが、さすがの存在感でお上手でした。
他、二人の姉はかわいくばかなとこがよくでてて、父もいろんな声技含め面白く、憎めない小悪人を好演でした。
結婚しても堅実そうだから、パパにはおいしい棚ぼた嫁実家ライフは無理そうですが。

ところで、終わって、ほんといい声を堪能した~と思うのですが、
なんとひとつのフレーズも覚えてません。これはこれですごくない?
でも楽しいオペラでした。