ペレアスとメリザンド

6月29日(日) 14:00 新国立劇場中劇場

コンサート・オペラ「ペレアスとメリザンド
[New Production]
C.A.ドビュッシー/全5幕 【フランス語上演/字幕付】

スタッフ
【作 曲】クロード・アシル・ドビュッシー
【原 作】モーリス・メーテルリンク
【指 揮】若杉 弘
【芸術監督】若杉 弘

キャスト
ペレアス】近藤政伸
【メリザンド】浜田理恵
【ゴロー】星野 淳
【アルケル】大塚博章
【イニョルド】國光ともこ
【医師/羊飼い】有川文雄
【ジュヌヴィエーヴ】寺谷千枝子

【合 唱】新国立劇場合唱団
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団


新国立HPの解説、『芸術監督・若杉弘の新企画「コンサート・オペラ」が開幕いたします。この企画は、オペラの名曲を全幕コンサート形式で演奏。オーケストラはオーケストラピットで演奏します。』ということで、舞台はすごーくあっさりで衣装もほぼなしってかんじですが、中劇場だしオケがピットだしなので、印象はかなりオペラっぽいです。同じく解説にあったように、オペラの演奏会形式の上演は、サントリーホールのホールオペラやBunkamuraのオペラコンチェルタンテ、各オーケストラの演奏会などであって、ホールオペラもコンチェルタンテも各オケ演奏会(新日や読、時々はN響の定期でもやる、ペレアスを前に聴いたのは新日の特別演奏会?かなんかで、もう少し舞台チックだった)も結構行っているので、言うほど特殊な前印象はなかったです。舞台の造りや衣装などだけでいえば、今回の公演より余程オペラ寄りなものも多かったけど、言われてみれば舞台とピットという物理的位置は近いか混在していたので、その辺の影響は大きいのかもしれない。

解説パンフにあったような、メーテルリンクは当時大人気だったんだよ、ってのは今だとそんなにぴんと来ないけれど、単品曲としてはドビュッシーよりむしろメジャーっぽいフォーレの作品おかげもあり、話は昔から知っていた。岩波の文庫は挿絵もついてて(かわいい)、戯曲なんだけど読みやすいのでお勧めです。薄いし。文章も詩的で、イメージ浮かびやすい。
ただ、原作読んでいるとペレアスもメリザンドも子供で華奢。オペラの絵面とはどうしても合いませんね・・・

原作もこの作品も共通するのは、暗さ。お城も、海岸の洞窟も、森も暗い。死の気配に包まれすぎている。メリザンドはおおかた水関係の妖精かなんかとにかくヒトじゃなかろうと思われるんだけど、そんなお伽噺な主人公がいてふわふわした会話を交わしていても、暗くてこわい。明るいのはメリザンドのきらめく長い髪と、森の澄んだ泉だけ。その泉も殺されたペレアスが沈められてまうわけで・・・(オペラだとそうなってるのかよくわからない。殺されるときも、星が星が、なんて逆にあまり暗さや深刻さがなく、幻想的になっている)

演奏はそんな作品の雰囲気を保って控えめでいい感じだったと思います。歌手は、浜田さん、メリザンドの華奢で人外なところが高くて綺麗な声で合ってて良かった。ペレアス近藤さん、声が通っていいような気もするけど、ちょっとがっしり感が強い?まだ子供なところと微妙にあっているのかあっていないのか。会場受けはゴローの星野さんのほうがよかった。全体的に、悪くはなかったと思います。中劇場なのでか、とても聴きやすかったし。

ところで、小劇場オペラはなんだかご無沙汰な気がするのですが、若杉さん体制ではあまりやらないのかな?
あと、若杉さん、すごく小さく見えたのですが痩せちゃった?